急速な技術の進歩や消費者のニーズの多様化などを背景に、新規事業の重要性がかつてないほどに高まっている。株式会社BELLETは新規事業開発のサポートを目的に、2023年10月に設立された。その特徴は「事業」ではなく、「人」をコミットするところにある。共同代表を務める眞嶋伸明氏と田中翔太良氏に、新規事業を成功に導くための戦略を聞いた。
■知識、スキルを蓄積し「体験資産」に
日本ではイノベーションが生まれない―。そうした声を耳にすることがある。「新規事業の失敗の原因を、情報の欠如や組織のあり方に求めがちだが、結局は『人』の問題に尽きる」。長年、新規事業の立ち上げに携わってきた眞嶋氏は、経験を踏まえて語る。日本では、人材への投資が重視されなかったことも背景にあるという。
裏返せば、新規事業の成功には「人」の成長が欠かせない。BELLETが掲げるキーワードが「体験資産」だ。「一度でも事業を立ち上げれば、その経験は非常に大きい。まずはやってみることが大事。体験を通して得た知識やスキルを資産として蓄積することで、新規事業の成功確率が高まる」と田中氏は力を込める。
その過程をサポートし、成功へと導くのがBELLETだ。「人を中心とした事業開発、すなわち人的資本経営への転換は避けられない。リスキリングへの公的な支援が充実している今がチャンスだ」と眞嶋氏は話す。
■チャレンジ担う人材にフォーカス
なぜ日本には、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグは現れないのか。「いや、きっといる」と眞嶋氏は言う。その視線は、企業など組織の中を向く。
「組織の中では、歴史のある既存事業がやはり中心で、新規事業を担う人材はなかなか目立たない。けれども、もっとヒーロー、ヒロインが生まれていい」と田中氏は話す。
新しい事業にチャレンジする人にフォーカスが当たるよう、メディアとの連携も進めていくという。「今や働き方はさまざまだ。『組織の看板』を超え、『個人の看板』で仕事をする人がもっと出てきてもいい。それは組織にとってもメリットになる」と眞嶋氏は述べる。
BELLETのミッションは「市場ニーズに応じたスキルと知識を備えたプロフェッショナルを育て、経済的豊かさと社会的価値の向上を目指す」。人材を中心に据えたBELLETの挑戦が、日本のビジネスシーンの未来を切り拓く。
眞嶋氏が今、興味を持つのが創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」だ。
主人公のデブ猫「マル」が旅をしながら成長してゆく物語で、2018年に愛媛新聞で連載が始まった。地方新聞社が連携して展開しており、現在は神戸新聞で兵庫編第3シリーズとなる「マルの怪盗Xを追え!」が連載されている。
人材に焦点を当てた新規事業開発と、童話。一見、脈絡のない組み合わせだが、「マルは新聞社という組織から生まれたキャラクター。それが大きく羽ばたけるよう、フォーカスする。それって結局、人的資本経営なんですよ。いや、ネコ的資本経営かな」とニヤリと笑う。
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