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  • 2025/10/2 16:42
  • グローバルスタートアップEXPO

スタートアップが育つ土壌づくりが重要 グローバルスタートアップEXPOを開催

 世界各国のスタートアップ創業者、投資家、大学・研究機関、行政機関など、スタートアップエコシステム(スタートアップの成長に必要な要素が集積し、さらに次のスタートアップが生まれる仕組み、土壌)の関係者が集い、次世代の産業・社会を形づくるアイデアを共有し、世界規模の課題解決の道筋を示す「グローバルスタートアップEXPO」 が9月17,18日、大阪・関西万博会場内で開かれた。

https://global-startup-expo.go.jp/

 

9月17日、大阪・関西万博EXPO メッセ「WASSE」

 

 「グローバルなスタートアップエコシステムに向けて」をテーマにしたオープニングセッションでは、岸田文雄前内閣総理大臣が在任中に掲げた、社会課題の解決を成長のエンジンとする「新しい資本主義」という経済モデルのもとで進めてきたスタートアップ育成5か年計画の取組について語った。2022年11月に策定した同計画では、日本をアジア最大級のスタートアップハブとすることを目指し、人材、資金供給、オープンイノベーションの推進について手厚い政策を盛り込んだ。「こうした取り組みの結果、2021年に1万6千社だったスタートアップは現在2万5千社にまで増加。大学発スタートアップは2万5千社を超え、直近1年の増加分のうち約6割が地方で創業された」と成果を強調した。 
 一方で、日本からユニコーン(評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場のベンチャー企業)の輩出が少ないことを課題として指摘。関西においては京都大学、大阪大学、神戸大学などで創薬、医療、次世代エネルギー、新素材開発など専門性の高い大学発スタートアップが存在することを列挙したうえで、こうしたディープテックスタートアップを支援するための基金を創設したことに言及した。
 東京大学総長の藤井輝夫氏 は、東大IPCや東大TLOなど資金や企業との連携、特許化などを支援するエコシステムの整備に努めてきた結果、2024年までに東大に関係するスタートアップを638社輩出している実績を紹介した。今後については、グローバリゼーション、ディープテックのサポートに注力すると述べ、「事業化まで切れ目なく一気通貫でサポートすることが重要」であることを強調。27年9月に70年ぶりに開設する新学部、「UTokyo College of Design」では、「未来の社会をつくるトランスフォーマー、チェンジメーカーを育てたい」と意気込んだ。

 

国立大学法人 東京大学 総長 藤井輝夫氏

 

 「再生医療領域とヘルスケア領域におけるグローバルトレンドとスタートアップ」のセッションでは、世界で初めて患者のiPS細胞から網膜細胞を作って移植する手術を実現し、ビジョンケアの社長を務める髙橋政代氏がパネリストの1人として参加。再生医療のスタートアップを支援する環境について、「山中伸弥氏が世界で初めてiPS細胞の作製に成功し2012年にノーベル賞を受賞した以後に、再生医療にかかわる法規制の整備が進むなどiPS以前と以後で再生医療を取り巻く景色が変わった」と述べた。

 

株式会社ビジョンケア 代表取締役社長 高橋 政代氏

 

 ティン・アリーベンチャーズ(オーストラリア)のアンドリュー・ジェームス・マクリーン氏は「再生医療スタートアップのエコシステムを確立するにはグローバルの連携が重要。例えばオーストラリアは臨床試験がやりやすい環境が整っている」と述べた。

ティン・アリーベンチャーズ アンドリュー・ジェームス・マクリーン氏

 

 また、ザ・フォーサイト(イギリス)でバイオテクノロジー・ヘルスケア分野とディープテック分野の投資を担当するジェームズ・ウォン氏は「日本が強みを持つロボット工学などと結びつけると日本の再生医療はさらに優位性を発揮できる」と期待を寄せた。

ザ・フォーサイト ジェームズ・ウォン氏

 

 最後に、髙橋氏は「日本は再生医療スタートアップの領域ではスロースターターだったが、政府もスタートアップ支援に本腰を入れ始めた。海外のエコシステムに学びながら治療の開発に挑んでいきたい」と再生医療の事業化に向けた意欲を語った。

 

スタートアップのポテンシャルについて議論したセッション

 

【事業概要】
事業名称 Global Startup EXPO 2025
開催期日 2025年9月17・18日
主催 経済産業省、経済産業省 近畿経済産業局、JETRO 独立行政法人日本貿易振興機構、
NEDO 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

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