
6月は、多くの人が直面する可能性のある不妊について社会全体で考え、理解を広める「世界不妊啓発月間」だ。エクスコムグローバル株式会社は、2022年6月から不妊治療を専門とする「にしたんARTクリニック」を全国展開し、高度な不妊治療を全国どこでも無理なく受けられるインフラ作りを進めている。同社の西村誠司社長にクリニック開設に至った思いを、にしたんARTクリニック神戸三宮院の森山俊武院長に不妊治療の実際について聞いた。
自身得た喜び 多くの人に

―事業化を目指すことになった経緯は。
学生時代、米国人の友人に薦められて「ケインとアベル」を読みました。貧しい家庭に生まれてホテル王にまで上り詰めたアベルの姿が、幼い頃に新聞配達をして家計を支えた自分の境遇と重なり、事業を起こそうと決めました。3年間、コンサルティング会社で勤めた後独立しました。事業案として温めていたボイスメール事業を始めたのですが7000万円の借金だけが残りました。その後、米国の友人を訪ねる際、飛行機の到着遅れを友人に連絡できなかった経験が契機となり、日本人向けに米国の携帯電話をレンタルする事業で息を吹き返しました。
2008年には通信が音声からデータへシフトする流れを見据え、海外用Wi-Fiを法人向けにレンタルする事業をスタート。スマホの普及とSNSの浸透を追い風に個人向けサービスも始め、サービス名を「イモトのWiFi」とし、飛躍的に事業が伸びました。周囲から「まぐれ当たり」と言われたのが悔しくて、全く違う事業領域で結果を出そうと、美容医療「にしたんクリニック」を渋谷に開業しました。コロナ禍で海外Wi-Fi事業とクリニックが大きな打撃を受けましたが、PCR検査事業に着手し、累計900万人の検査を行い、落ち込みをカバーしました。

―なぜ、にしたんARTクリニックを開業したのですか。
結婚して2人の息子に恵まれたのですが、3人目は娘を切望しました。妻は41歳だったため、滞在していた米国で不妊治療を受け、女児を授かることができました。私たちが得た喜びを多くの人に提供したいと考え、22年6月に新宿院を開院しました。
疑問や不安 24時間対応
―どのようなサービスを心掛けたのでしょうか。
不妊治療を受けている女性は働いている人が多いことから、平日は22時まで、土日も9時~18時まで開けるようにしました。全国12院のうち10院は駅チカの立地で、神戸三宮院もJR三ノ宮から徒歩数分のミント神戸に開院しました。会社に知られることなく通院できたという声も多くいただいています。
専属カウンセラー制を導入し、診察前に希望や心配事をヒアリングしてから診療を行い、疑問や不安にいつでも応えられるよう専用LINEで24時間365日相談に対応できるようにしています。何よりスタッフ全員が、患者に寄り添い、温かく接する姿勢が高評価につながっています。開院から4年弱で、外来患者数、採卵数、移植数ともに業界でトップクラスになりました。医師に聞くと「このチームに任せていれば安心」と心から信頼し、肩の力が抜けた瞬間に結果が出るケースが多いようです。
命を生み、家族の幸せの起点を支える不妊治療は国の礎づくりにも直結します。そのためのインフラ作りを進め、新しい命を授かっていく人の数を日本中に増やしていきたいと考えています。
☞西村社長のTikTokをチェックしよう『にしたん社長/個人資産300億円』
診療前の無料カウンセリング

―不妊とはどういう状態をいうのでしょうか。
妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交していたにもかかわらず、1年間妊娠しない場合を、「不妊症」と定義しています。日本では、夫婦の4.4組に1組が不妊で悩んでいるといわれています。
―不妊治療はどのように進められるのでしょうか。
女性はまず、卵巣卵管や子宮などに異常がないかどうかを調べるほか、卵巣が卵子をどれぐらい排出する能力(卵巣予備能)があるかを測るAMH(抗ミュラー管ホルモン)、その他の各種ホルモン、甲状腺機能、感染症などの検査を行います。男性は、精液の状態などについて検査します。そのほか女性の年齢などを参考にしながら治療方針を決めます。
不妊治療の最初のステップがタイミング法です。超音波検査により排卵日を正確に予測し、最も妊娠しやすいタイミングで性交してもらい、妊娠を目指す方法です。目安として3〜6周期実施し、妊娠しなかった場合、次のステップである人工授精へと進みます。人工授精は、排卵のタイミングを予測し、排卵に合わせてパートナーから採取した精子を子宮内へと注入する方法です。3〜6回実施して成果が見られない場合、最終ステップである生殖補助医療(ART)へと進みます。
― 生殖補助医療(ART)とは。
卵子と精子を体外で受精させる方法で二つのやり方があります。一つ目が、コンベンショナルIVF(ふりかけ法)で、採取した卵子に多数の精子をふりかけ、精子が自力で卵子に侵入するのを待つ方法です。もう一つが顕微授精で、選抜した精子1個を卵子に直接注入する方法です。AMHの値が低値、または40歳以上の場合、人工授精から始めたり、体外受精・顕微授精から始めるケースもあります。
―不妊治療に保険は適用されるのでしょうか。
22年度から、 タイミング法や人工授精などの一般不妊治療と、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療のどちらも保険診療の対象となりました(生殖補助医療は43歳未満の方が適用)。保険適用後、当院に来院する患者のうち35歳未満の患者の割合が20年度の23.5%から24年度は39.6%に、31歳未満に限ると9.2%から17.1%に上昇するなど若い年齢層の受診が増えました。保険適用に加え、不妊治療を受けやすい職場環境の変化などがハードルを下げていると考えられます。
.jpg)
若年時から定期的検診を
―どのような診療を心掛けているのでしょうか。
診療の前に、無料のカウンセリングを実施しています。患者さまとのコミュニケーションを大切にし、思いや悩みを感じ取り、その上で治療の道筋を立てています。予約システムなどを活用しながら極力待ち時間を短くするよう心掛けてもいます。神戸三宮院独自でインスタグラムやポッドキャスト(音声による番組)を発信しているので、クリニックの雰囲気をぜひ感じてください。
最近では結婚を機に女性特有の疾患の有無を検査するブライダルチェックの機会が増えていますが、結婚前から異常がわかっていればより不妊のリスクを低減できる可能性もあります。若いうちから婦人科疾患の定期的なチェックを受けておくことを勧めます。
にしたんARTクリニック
神戸新聞社DX推進局デジタルイノベーション部
TEL:078-362-7329
Mail:sales-ad@kobe-np.co.jp